宇宙拳法の達人・ウルトラマンレオがギガンティックシリーズに登場!

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筆者:秋廣泰生
ライター/映像演出家。元・円谷プロ製作部所属。1980年代後半より、ウルトラマンシリーズをはじめ、円谷プロ作品の映像商品の制作や、出版物、CDの構成執筆を手掛ける。VHS時代の再編集ビデオの殆どで編集・演出を担当。テレビ番組演出は『ウルトラマンボーイのウルころ』『ウルトラマン列伝』など。


全高約49cmのビッグサイズでウルトラマンレオが登場!

今回は〈ギガンティックシリーズ〉から最新作、ウルトラマンレオの紹介です。

 ”ギガンティック“ というワードに象徴される様に、このシリーズは〈大怪獣シリーズ〉をググッと超越する迫力の全高が特徴です。

 仮に〈大怪獣シリーズ〉を「エクスプラスの怪獣シリーズ」のスタンダードサイズとするならば〈ギガンティックシリーズ〉は、まさしくジャイアントサイズ。

 我らのウルトラマンたちは、身長40メートル超の巨大ヒーローですから、そんなウルトラマンたちの巨大感に迫れる魅力こそ〈ギガンティックシリーズ〉最大のポイント。その手に取っていただければ、巨大なヒーローと向き合える疑似体験的な存在感と充実度が心に伝わってくるのは間違い無いでしょう。

そして、ここに紹介する全高約49cmの《ウルトラマンレオ》を造形した原型師こそ、昭和特撮作品のヒーロー、怪獣、宇宙人のリアリティ溢れる再限度で大きな注目を集めている、セキケンジさんです。

 セキさんはエクスプラス〈大怪獣シリーズ〉でも数多くの昭和ウルトラマンたちを造形しており、個人的には〈大怪獣シリーズ〉における昭和円谷ヒーローのイメージリーダーではないかと考えています。

 また、セキさんは様々なフィギュアメーカーを舞台に、昭和特撮のフィギュア化で活躍しており、実は原型師がノンクレジットのままで、あなたの机の上にもセキさん入魂造形のフィギュアが並んでいるかも?しれません。

 セキさんは日本のガレージキット黎明期である1980年代前半には『帰ってきたウルトラマン』の主人公ウルトラマンジャックを自作。写実性の高さだけでなく、生命感ある造形力は現在の目で見ても驚くべきものがあります。

 ある意味では幼少期からの特撮愛に始まった、数十年に及ぶ昭和ウルトラマンたちへの観察眼が〈大怪獣シリーズ〉、そして何より〈ギガンティックシリーズ〉に昇華されているのは間違いの無いところです。

 さて!改めて〈ギガンティックシリーズ〉ウルトラマンレオです。

 〈大怪獣シリーズ〉のウルトラマンたちの場合は、映像作品の劇中で見せた、アクティブで特徴ある動きの一瞬や、そうした撮影の合間にシャッターが切られた印象的な場面写真などをイメージソースとして重視し、固定したポーズの中に躍動感あるリアリティを追究した再構築が図られている訳ですが、一方の〈ギガンティックシリーズ〉の基本的なコンセプトは、直立姿勢として統一されています。

 これを言い換えるとするなら、怪獣が猛威を振るう緊急事態に、すぐさま腰を落として相手を見据えたり、両手を構え、両足を前後または左右に踏み出すなどの臨戦態勢を表現したものが〈大怪獣シリーズ〉で、ウルトラマンたち個々のパーソナリティーを、共通した直立姿勢の枠組みの中で描き分けていくのが〈ギガンティックシリーズ〉だと思うのです。

 そこで発揮されるのが、セキさんならではの心身への観察眼と、これを形成する造形術です。

 ウルトラマンたちの姿や立ち振る舞いはもとより、その精神性を探り、手繰り寄せて解釈しフィギュア化するという行為には、古来、私たち人間そのものへ向けられた彫像美への追究が重なります。

 それは写実的なリアリティ表現とは異なるニュアンスを含みますから、造形デッサン以上に、精神性を表現出来る造形を目指した、言わば心のデッサンというべきものに回答を見せるのが、セキさんの造形師としての大きな魅力ではないでしょうか。

 特にウルトラマンレオは、地球で言う空手に相当する宇宙拳法の使い手ですから、直立姿勢の中に鍛え抜かれた全身像が反映されるのは当然のこと、一途に愛する者を守り抜き、平穏に過ごす事を踏みにじられた者に成り代わり、体を張って全力で戦い抜くという、孤高の精神性が反映されなければなりません。

 この辺りは、これまで世に送り出されてきた〈ギガンティックシリーズ〉のウルトラマンたちと並べることで、セキさんのアプローチの違いが明確に感じられてくると思うのです。

 そしてもうひとつ、ウルトラマンレオの造形にとって見逃してはならないのが、頭部ならびに顔の表現です。

 ファンの間で、よく話題になるのが “ウルトラマンレオの顔は、おおとりゲンの顔に似ている” ──すなわち、おおとりゲンを演じた真夏竜さんの顔に似ている、というものです。

 これについて筆者の類推ですが、かつて『ミラーマン』の主人公・鏡京太郎役に石田信之さんが決まった時、ミラーマンのスーツの頭部原型を修整し、“同一人物” である鏡京太郎=石田さんの面相に寄せたとも言われているので、もしかしたらウルトラマンレオの場合にも、同様な場面があったのかもしれません。

 というのも、これもまた筆者の主観ですが、後にNGとなる、全身に光の国のウルトラマンたちの様な銀色のラインが入った、ウルトラマンレオの一番最初のスーツの顔は、真夏さんの顔に似ていない気がするのです──。

 そんな筆者の仮説の真偽はともかくとして「真夏さんの顔とウルトラマンレオの顔は似ている」という声があるのならば、これも純粋な造形上のテーマとして採り入れ、1本のヘラで回答を形成し、完成形の中に更なる深みを持たせていく──ここにも、セキさんの造形が多くの方々を惹き付ける理由があるのではないかと感じています。

 また〈ギガンティックシリーズ〉には、そうした情報を織り込めるサイズ感があるとも言えますから──いえ、セキさんのウルトラマン愛を描けるフィールドが確保されているとも言えますから、そうした意味合いからも〈ギガンティックシリーズ〉としてのウルトラマンレオは、これまでのラインナップから一歩踏み出した熱意と完成度を誇っている──というのが、筆者の脳内を駆け巡った第一印象でした。

 万感の思いが全身に託された〈ギガンティックシリーズ〉最新作・我らのウルトラマンレオ!登場です!

予約ページはこちら!→https://jp.ric-toy.com/200327r.html

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