筆者:秋廣泰生
ライター/映像演出家。元・円谷プロ製作部所属。1980年代後半より、ウルトラマンシリーズをはじめ、円谷プロ作品の映像商品の制作や、出版物、CDの構成執筆を手掛ける。VHS時代の再編集ビデオの殆どで編集・演出を担当。テレビ番組演出は『ウルトラマンボーイのウルころ』『ウルトラマン列伝』など。
〈大怪獣シリーズ ウルトラセブン編〉ラインナップもいよいよ大詰め!
バド星人が仲間入り!
〈大怪獣シリーズ〉の『ウルトラセブン』登場怪獣・宇宙人も、いよいよ大詰めに迫ってきました!
今回、新たにラインナップに加わるのは第19話『プロジェクト・ブルー』に登場した ─ 宇宙帝王 バド星人 ─ です。
それでは早速!ポイントとなる仕様を紹介していきたいと思います。
まずは何と言っても!全身を包む整然としたウロコ状構成物体の再現に注目です!
ウルトラ怪獣特有の独創的なディティールに挑戦し、数々の立体表現を実現してきた〈大怪獣シリーズ〉が満を持して、バド星人の細密で規則性の際立つアイデンティティを、その内側に存在する筋肉美を浮き立たせながら、かたち作ってみせています。
“神は細部に宿る” といった表現にもある様に、こうしたところの再現を疎かにしないことで《バド星人》の本質が〈大怪獣シリーズ〉へと結実しているのが感じられてきます。
この、規則的であっても無機質ではない、造形面・塗装面に代表される感性の取り組みと、これをフィードバックする整形・生産との融合を、ぜひ手に取って感じていただきたいと思うのです。
そして頭部。外形自体はシンプルですが、顔の中心部へ向かう様な幾重の隆起と彫りによって、劇中のバド星人は、数多あるウルトラ怪獣にあっても唯一無二の個性を放っています。
外耳と思われる左右の部位も含めて、シンメトリーでない隆起と彫りの奇妙な波は、精緻なウロコ状構成物体と比較すると、なんともアンバランスな印象を受けますが、だからこそ劇中では照明効果を受けて、不安を煽る陰影を浮かび上がらせるポイント。
すなわち!ここは〈大怪獣シリーズ〉としても造形の大きな要と言えます。
この点についてもぜひ!お手元でフィギュア用の照明を使って、異形だけが発揮出来る恐怖を浮かび上がらせていただきたいと思うのです。
なお、バド星人の頭部の全体像について個人的な考察ですが──頭脳の超高度な発達と、食の激変で使用頻度が激減した顎や口が退化したため、逆三角形が形成される──といった、昭和の時代にイメージされていた、SF的未来人の概念を彷彿とさせるものがあって、現在の視点では、ある意味、レトロフューチャーの象徴とも捉えられます。
この辺りがニュージェネレーション・ウルトラマンシリーズにあっても異彩を放ち、度々の登場と活躍 (暗躍?) に繋がっているのではないかと個人的に思っているのですが、いかがでしょうか?
商品紹介に戻りましょう。
そして、第3の注目箇所としてアピールしておきたい仕様が、塗装による眼の表現です。目力と潤いを感じさせる塗装によって、あたかも不敵な生命力が宿るかのようです。
先に紹介した顔面の幾重の隆起と彫りとを、仮に、宇宙の知的生命体を長きに渡って滅ぼし続けてきたという、“歪に刻まれた年輪に相当するもの” だと捉えてみた時、なお衰えない、“老獪な宇宙的長命” を表現しているのが “眼” ──そんな想像も廻らせてくれる巧みな塗装こそ、じっくりと間近で感じていただきたいと思うのです。
さて!バド星人に絶対に欠かせないオプション的アイデンティティが、ウルトラセブンとの対決で繰り出された〈宇宙メリケン〉です!
改めて、ここでの「メリケン」について説明しておくと──現在では「ナックルダスター」の呼び名の方が一般的かと思われる、指を通して拳で握りしめる様に装着し、打撃力を高める武器のことで、昭和のプロレスシーンでは、まさに劇中のバド星人そのままに、悪役レスラーの卑劣な隠し武器として繰り出されていました。
ちなみにウルトラセブン対バド星人の演出には、ウルトラマンシリーズ初の “コマ落とし撮影による格闘” を導入。スピーディーなバトルが展開されています。
バド星人の出番は本編パートが主体でしたから、特撮パートでは限られた時間で、いかに戦いの手数を多く見せるかという工夫があったと推測される訳ですが、その中でもバド星人が〈宇宙メリケン〉を装着するプロセスはカットを割って明瞭に描かれており、結果、非常に認知度の高い武器として、ウルトラ怪獣の歴史に刻まれるところとなっています。
フィギュアとしてのプレイバリューを広げるオプションパーツも見逃せない〈大怪獣シリーズ〉ですから、もちろん〈宇宙メリケン〉も付属。
これをセットするだけで、本編パートの知的戦略宇宙人から、ウルトラセブンを怯ませる特撮パートの敏捷な武闘派宇宙人へと早変わり!
オプションパーツひとつで異なるイメージを引き出せるのも、バド星人だけが持つ特徴と言えるでしょう。
2ウェイでイメージ再現を楽しめる〈大怪獣シリーズ〉バド星人に、どうぞご期待ください‼
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