筆者:秋廣泰生
ライター/映像演出家。元・円谷プロ製作部所属。1980年代後半より、ウルトラマンシリーズをはじめ、円谷プロ作品の映像商品の制作や、出版物、CDの構成執筆を手掛ける。VHS時代の再編集ビデオの殆どで編集・演出を担当。テレビ番組演出は『ウルトラマンボーイのウルころ』『ウルトラマン列伝』など。
恐怖の円盤生物第2号が大怪獣シリーズに登場!
着々とラインナップを増やしつつある『ウルトラマンレオ』に登場した怪獣・宇宙人の〈大怪獣シリーズ〉化。ここにまた新たな1体として、恐怖の円盤生物が加わることになりました!
『レオ』の最終回を盛り立てた強敵であり、2020年5月に〈大怪獣シリーズ〉として発売された円盤生物ブラックエンドに続くのは、ブラックスターの地球侵略円盤生物の第2号、ブラックドームです!
ブラックドームが猛威を振るうのは第41話「恐怖の円盤生物シリーズ! 悪魔の惑星から円盤生物が来た!」でした。
このエピソードでは、空飛ぶ円盤大好き少年がゲスト主役として登場します。
世界の各地で撮影された円盤の写真を集めたファイルが垣間見えたり、天体望遠鏡を空に向けて円盤を探したり、遂には正体がブラックドームとは知らず、眼前に迫ってきた円盤を鏡に反射させた光で呼び寄せようとします。
こうした描写は『レオ』の放送が開始された昭和49年 (1974年) 当時、児童誌で[空飛ぶ円盤]や[宇宙人]の目撃情報、円盤や宇宙人らしき物体を捉えた写真記事や遭遇体験が特集され、それらの社会情勢がフィードバックされたものと、小学校1年生での『レオ』リアルタイム視聴者の筆者は受けとめています。
それは恐らく「恐怖の円盤生物シリーズ!」成立の根幹でもあったのでしょうし、筆者の記憶の中にある記事も、当時流の児童向けノンフィクションとして、迫真性に溢れていたと振り返っているところです。
と同時に『レオ』での星人や宇宙怪獣到来率の高さ、星人出自の天体が様々な事情と共に語られたりするのも、そうした記事がヒントになっているのではと感じるところがあります。
また『レオ』と同時期に放送されていた円谷プロ作品『SFドラマ 猿の軍団』にも[空飛ぶ円盤]が、地球の情勢に関わる存在として出没していましたから、当時の[空飛ぶ円盤]への関心度の高さがうかがえます。
続いては〈大怪獣シリーズ〉に到来するブラックドームに注目してみたいと思います。
今回、大怪獣シリーズ「ブラックドーム」の造形を手掛けたのは原型師 増川信二さんです。
増川さんは特撮系のキャラクターはもちろん、アニメなどの2次元キャラクターも極めて写実的に造形する、見事な手腕で知られています。
そうした中で筆者は、増川さんの造形テクニックについて、実に不思議に感じているポイントがあります。
それは例えば造形対象が架空の存在だったとしても、実在の生物の様な “潤い” 度数の高さ、あるいは低さを宿らせている様に感じられるところなのです。
そのテクニックの謎と秘密は何なのか、筆者の付け焼き刃の知識では解明出来ませんが、その表現力はブラックドームにも着実に活きていると感じられてきます。
ウルトラマンシリーズの特撮ステージは、たくさんの照明機材が発する熱や、種々の特殊効果で発生する大量の埃などで非常に乾燥しがちなのですが、それらが影響しているのかどうか、時折、“乾燥肌” を思わせる怪獣がみられることがあります。
個人的にブラックドームも、そうした “乾燥肌” の1体と感じていましたから、増川さんという人選は、まさしく適材適所。ブラックドームにうってつけ!と小躍りしてしまいました。
なお『ウルトラマンT (タロウ) 』に登場した宇宙大怪獣べムスター (改造) にも、個人的に “乾燥肌” 感を抱いているのですが、実は〈大怪獣シリーズ〉のべムスター (改造) も、増川さんの造形であったと知り、その表現力に大納得です。
もちろん〈大怪獣シリーズ〉は高度な塗装技術が持ち味です。塗装によるウェット感・ドライ感表現がありますが、増川さんの手掛けた怪獣は素地からして、皮膚表現の謎と秘密が隠されている気がするのです。
そして言うまでも無く、ブラックドームの写実的表現は、映像や写真からそのまま抜け出てきたかの様で、こうして画像で見て感嘆するだけでなく、手に取ってみた時、実物標本の縮小レプリカの如くの感覚を味わえるのではないでしょうか。
思うに近年、カプセルトイやプラモデルなどで昆虫や甲殻類など節足動物のリアルフィギュア化がひっきりなしですが、ブラックドームも外見的に宇宙的節足動物の一種でしょうから、リアル造形とは本来的に相性がいいのかもしれません。
さて!ブラックドームの〈大怪獣シリーズ〉ラインナップ化と聞いて、真っ先に思ったのが「これは推し活に使える!」ということでした。
恐らく〈大怪獣シリーズ〉の楽しみ方としては、お部屋でのディスプレイが主流ではと思うのですが、ここで新たに提案したいのが、ブラックドームを連れてのお出かけです!
昭和40年代後半から『レオ』放送の頃にかけての特撮テレビ番組を知る方々なら、第41話の劇中で円盤探しをしていた廃墟は、様々な作品でロケ地に重宝されていた、通称[おばけマンション]と呼ばれていた所だと、すぐに気付いたことでしょう。
撮影から既に50年を経過しようという現在、この廃墟は跡形も無く存在しませんが、劇中から様々に読み取れたり想像される位置関係によって、ブラックドームが飛来してきた方向が推測出来ますから「恐らくこの辺りの空で本性を現した?」と想像力をはたらかせながら、空をバックにブラックドームを撮影してはいかがでしょう?
〈大怪獣シリーズ〉化されたブラックドームは、間違いなく推し活バッグにフィットしたサイズ感で、一緒のお出かけにも最適です!
また、より高度な推し活を求める方は…実は特撮パートに登場する城南大学の複数の校舎として、第21話「見よ!ウルトラ怪奇シリーズ 北の果てに女神を見た!」で、札幌の時計台をモデルにした建造物のミニチュアが再び使われていましたから、イマジネーションを更に更に増幅させて、札幌でのブラックドーム撮影に臨んではいかがでしょう?(笑)。
お手元にブラックドームが届くまでの時間は、撮影プランを練るための時間でもあると考えれば、楽しみも倍増です!
それでは〈大怪獣シリーズ〉ブラックドームの襲来に、ぜひ手鏡を磨き上げてお待ちください!
予約ページはこちら!→https://jp.ric-toy.com/200371r.html