新着記事 | 路地裏の散歩者 / 少年リック公式ブログ Mon, 22 Dec 2025 10:28:04 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.9 /wp-content/uploads/2024/05/cropped-faviconV2-32x32.png 新着記事 | 路地裏の散歩者 / 32 32 異彩を放つ光怪獣!プリズ魔登場!! /200482r/ Mon, 22 Dec 2025 10:27:32 +0000 /?p=382 筆者:秋廣泰生
ライター/映像演出家。元・円谷プロ製作部所属。1980年代後半より、ウルトラマンシリーズをはじめ、円谷プロ作品の映像商品の制作や、出版物、CDの構成執筆を手掛ける。VHS時代の再編集ビデオの殆どで編集・演出を担当。テレビ番組演出は『ウルトラマンボーイのウルころ』『ウルトラマン列伝』など。

ウルトラ怪獣唯一無二の独創性!プリズ魔が仲間入り!!

 今回、『帰ってきたウルトラマン』に登場してきた怪獣の中でも際立って異彩を放つ「光怪獣プリズ魔」が〈大怪獣シリーズ〉のラインナップに加わります!

プリズ魔は第35話「残酷! 光怪獣プリズ魔」に登場しました。

 光る現代アートの様な姿形、美しく繊細な咆哮音、周囲に不思議な現象を起こす出現あるいは撤退のプロセス、人間の側から見ればその諸行は “残酷” であるという特徴の数々は、令和の時代に至る全ウルトラ怪獣…いえ、全円谷プロ作品に登場の怪獣を見渡しても、唯一無二の独創性を放っていると断言出来るものばかりです。

 脚本を手掛けた朱川審とは、主人公・郷秀樹の盟友でもあり、頼れる兄の様な存在でもある坂田健役でレギュラー出演していた岸田森さんの筆名です。

 岸田さんは『帰ってきたウルトラマン』の3年前に制作・放送された科学犯罪捜査ドラマ『怪奇大作戦』での科学捜査研究所SRIの一員・牧史郎役のレギュラー出演で円谷プロならびに多くのスタッフとの縁が育まれていきました。

 劇中でのプリズ魔の異質さに心を奪われてしまいがちですが、この第35話の脚本も、ごく身近な出来事に端を発して、現実の中に潜んでいる不思議な出来事を垣間見るうち、信じ難い大きな出来事へと発展していく基本骨子で組み上げられており、まさに王道の怪獣路線だと読み解けます。

 それを岸田さんならではの光と闇の対比や、静物への美観などの感性が包み込むだけでなく、光を見る術として現実的科学性のあるプリズム現象を織り込んだことで、ロマンだけに収まらない緊張感とリアリティを生み、監督の山際永三さん、特殊技術の佐川和夫さんをはじめ、誰もが前のめりになる物語となって結果、お二人の演出家としての技術が際立つシーンが連続していきます。

 実はこれらは『帰ってきたウルトラマン』が積み上げてきた表現の術が第35話という場に結実した集大成と言えるのではないか──筆者はそんな印象を持ちます。

 この “集大成” という視点についてですが、第35話の初放送は昭和46年12月3日でした。それは『帰ってきたウルトラマン』の成功から次回作──やがて『ウルトラマンA』に結実する新番組の準備が動き出していて当然とも言える時期です。

 また、第35話が放送された2日後には『ミラーマン』の放送が開始されることから『帰ってきたウルトラマン』班から『ミラーマン』班へのスタッフ異動が行われ、これに伴い『帰ってきたウルトラマン』班では新たな編成が行われたであろうことが、クレジット表記からうかがえます。

 更に状況を俯瞰してみると、脚本や監督などの主要スタッフが『帰ってきたウルトラマン』を放送していたTBSのプロデューサー・橋本洋二さんの采配で新番組 (宣弘社制作による『シルバー仮面』)の立ち上げに参加していくという流れも感じられてきます。

 そんな状況から筆者にとっての第35話は、大きな分岐点を迎えた『帰ってきたウルトラマン』が制作の中で培ってきた、特撮テレビドラマとしての楔を打ち込もうという意欲のもと、情熱を込め誠実に制作されていった1本だと、感じられてならないのです。

 したがって岸田さんが脚本を手掛けたことも、王道の骨子を持ちながら、これまでとは全く違う次元からドラマや現象にアプローチしていく、誰もが分岐点や集大成に相応しいと共感する力量を備えていたからではなかっただろうかと、そんな風に思えるのです。

 では、そこに登場してくる新怪獣プリズ魔とは、どの様な存在であったのでしょうか?

 そのコンセプトは魅惑的に脚本の中に書き記されていたであろう事は言うまでもありませんが、その姿形を具体的なものにしていったデザイナーが、高橋昭彦さんであったことは極めて重要な出来事だったと思えます。

 何故なら高橋さん (井口昭彦の別称ほか画号などでも活躍されています) は、現在でこそ数多くの魅力的で存在感ある怪獣やヒーローを生み出してきた事から、怪獣デザイナーやキャラクターデザイナーとして受け止められる事も少なくないのですが、もともとは『ウルトラマン』の特撮班からキャリアをスタートさせた特撮美術班のスタッフ──通称・特美スタッフなのです。

 最初は美術スタッフ助手として、毎回のミニチュアセットを材料や掛かる製作時間などを工夫しながら組んでいましたが、特殊技術の佐川和夫さんからの抜擢で、早くも2年後にはSFメカアクション『マイティジャック』の特撮班で美術デザイナーに昇格します。

 特撮班の美術デザイナーの役割は、端的に言えば画面の中に映るもの全てをデザインし、効果的に構成していく事になりますが、そうした役割を深掘りして語るならば、ひとつひとつのシーンや個別のミニチュアにリアリティやドラマチックな迫真性を感じさせるだけでなく、美術が創造した成果あるいは成果物が、作品全体のイメージを象徴する、言わばキービジュアルとして誰もが画面にのめり込む効力を発揮しなければならないという大命題がある、ということになります。

 例えば、高橋さんが『帰ってきたウルトラマン』で手掛けたデザインワークで、物語を紡いでいく上で最も貢献したものとしてマットアロー1号・2号、そしてマットジャイロが挙げられます。

 それらはまさに “この飛行機が飛んでいる世界観”  を牽引し、運用するMATの性格を着実に表していった “『帰ってきたウルトラマン』の顔” と言ってもいい、実に確かな存在です。

 そうした観点からは、まさにプリズ魔は、極めて高い物語性の打ち出しと、特撮表現との調和を紡ぎ上げたと言えます。

 夜の海辺に灯台とその光があり、海の奥に妖しく浮かぶオブジェのごときプリズ魔が静かに光り佇み、漆黒の闇の空にオーロラが漂う…この1枚画に、全てのイメージを集約してみせた事によって、前例の無い異質異端の怪獣プリズ魔のまとう物語は完成した、と言っても決して過言ではないでしょう。

 また、光が限りなく物質に近くなったイメージがプリズ魔という存在なのだとすれば、物質として捉えてもプリズ魔は魅力的でなくてはならないという考え方も出来るでしょう。

 つまり、プリズ魔の創造の根源として湧き出てきたのは、静物主体のミニチュアセットを効果的に見せていく特撮美術の方法論の積み重ねから導き出されたものではなかっただろうか、とも思うのです。

 なお余談ながら、こうした1枚画が多くを内包し象徴するという方法論から『ウルトラマンA』に登場するベロクロンやバキシムは生み出され、第1話であり第3話に登場して、新機軸である超獣のイメージを早期に決定付けていく役割を果たしたのではないか?とも、感じられてきてなりません。

 まさしくプリズ魔は、特撮美術デザイナー・高橋昭彦さんの仕事歴の頂点に位置するものだと、筆者は感じます。

 そこで、改めて〈大怪獣シリーズ〉のプリズ魔を振り返ってみたいと思います。

 既に告知の画像やスペック、仕様の紹介にあるように【氷のように無機質でありながら存在感のあるその姿を、全高約22cm、全長約25cmのサイズで立体化。】を実現しています!

 スタッフが手にした比較画像からも、このボリュームが感じられると思います。筆者がそこに感じられる思いを語るならば、これこそ坂田さんが強い思いで追い求め、そして遂に出会った未知の “何か” に心が震える感覚の追体験が可能な大きさです!

 劇中では南極の氷に閉ざされていたというプリズ魔は、あたかも本当に氷から削り出したかのように平面を多層的に組み合わせた面構成になっていますが、透明な上に発光していることから、通常の怪獣の様に陰影を醸し出して立体感を表現するための照明効果とは異なり、ほぼ全面的に明るいため、立体感の把握が非常に困難だったそうです。

 加えて、背面と左側面は画面に全く映りませんから、そこは円谷プロの資料アーカイブからの検証になったそうですが、映像上の質感や立体的バランスは、写真資料とはまた違うニュアンスもあり、細部の読み取りやトータルのプリズ魔像の形成には苦心があったのだそうです。体感的には、いつもの4~5倍は検証時間を要したかもしれない…とのことです!

 塗装については、本体は透明ソフビ成形に塗装で氷の質感を表現するだけでなく、我々人間とは相容れない、意思が見えない冷たさという拒絶感までも彩って寒色が構築する、冷徹な存在感表現が見事です。

 そして〈大怪獣シリーズ〉プリズ魔最大の特徴が【更に付属のUSBケーブルを使用することで全身が発光!】する、これ以上ないプリズ魔の本質の再現です。

 かつて筆者は、昭和期のウルトラマンシリーズで特撮班の助監督を経験したスタッフに、怪獣の体の発光や点滅の意味をたずねてみたことがあります。その方はサッとおっしゃいました。光は怪獣にとって血流と同じだと。怪獣が生き物である証しだと!

 筆者は当初、プリズ魔のラインナップ化をうかがった際、オブジェとして捉えるユニークさも魅力の一端になるのではないかと考えましたが…それはよい意味で覆させられました。

 この〈大怪獣シリーズ〉プリズ魔は、まごうことなきウルトラ大怪獣です!

 エクスプラスの制作スタッフの方にも苦心談をうかがってみたところ、これまでの〈大怪獣シリーズ〉の開発で得られた蓄積から、今こそプリズ魔というテーマに挑戦するべきだという思いがあったのだそうです。

 ここにも “集大成” としてのプリズ魔がいたのは、間違いないようです。

 そして今、刻々とプリズ魔は、あなたの元を目指し、静かに接近しつつあります。

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