新着記事 | 路地裏の散歩者 少年リック公式ブログ Tue, 28 Oct 2025 07:14:19 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.8.3 /wp-content/uploads/2024/05/cropped-faviconV2-32x32.png 新着記事 | 路地裏の散歩者 32 32 ジャックとレオと対峙した”二面怪獣”アシュラン登場! /200492r/ Tue, 28 Oct 2025 07:14:19 +0000 /?p=341 今回紹介する最新作〈大怪獣シリーズ〉は、『ウルトラマンレオ』第34話「ウルトラ兄弟 永遠の誓い」に登場した二面凶悪怪獣アシュランです。

 アシュランが初登場した昭和49年 (1974年) 当時、小学一年生だった筆者には、この強敵怪獣の出現は大きなトピックスでした!

 前週に放送された予告編映像から、新怪獣とウルトラ兄弟が対峙するであろう展開に期待せずにはいられません。そこには帰ってきたウルトラマン=ウルトラマンジャックもいて、しかも郷秀樹も登場する!

 果たして翌週のオンエアでは、サブタイトルの字面や語感にもグッと心を掴まれ、緊迫感に満ちたドラマの充足感についてもまた、言うまでもありません。

 アシュランは、ヒューマノイドタイプと言うべき、人間同様の四肢や頭部の外形を持った怪獣の一種で、最大の特徴は、一見、赤い体色の全身像が前面のように見えて、実は青い体色で同じ顔と姿形を持った後面もまた、前面であるという、まさしく “二面怪獣” です。

 赤面・青面とも強力な打撃力や格闘能力を発揮するのはもちろん、双方の口から同時に高熱火炎を噴射して破壊や攻撃を行うなど、事実上、常に360度に近い視界の戦闘範囲を確保していると考えられます。

(全方位をフォロー出来るという観点からは、隙を持たない、ある種の神秘性を湛えた怪獣との受けとめも可能でしょうか)

 こうした独自の両面性の特徴からクライマックスでは、それぞれの面にレオとジャックが相対していく戦いが繰り広げられ、最後は郷の発案による月蝕を利用した挟撃の名勝負へと展開していきます。

 仮に逆算してみるならば…アシュラン対レオ&ジャックの殺陣を、効果的かつ独自の面白さで見せるために導き出された二面怪獣という設定…とも言えそうですが、更にここには、もうひとつのアシュラン創作の条件があったようにも思います。

 実は前回の第33話は「レオ兄弟対宇宙悪霊星人」でした。つまり、企画の段階では登場するアクマニヤ星人とレオ・アストラの兄弟が挟撃する可能性が有り得たとも、考えられる訳ですが、そうであるならば、やはり挟撃が有り得るアシュランは、アクマニヤ星人と差別化した特性を持たせた演出プランを考えておく必要があるのではないか──という想像がはたらいてきます。

 こうした制作上の流れからアシュランの独自性が導き出されてきたのかもしれないと想像してみると、ドラマが求めてくる怪獣の創造過程として、実に興味深いものがあります。

 こうしたアシュランの特異性を手に取って実感出来るのが、まさに〈大怪獣シリーズ〉の持ち味です。和風テイストの朱を感じる面を進撃方向に想定したポージングの中に、左右の五指は両面性を持たせて造形されており、このため青面からは、自らの威容を見せつけるかの様に胸を反らす、ふてぶてしさが感じられてくる様です。

 〈大怪獣シリーズ〉を愛する方々の中でもパッケージからの開封派は、自分の手に取ってあらゆる方向から眺め、お気に入りのアングルを見つけ出していく楽しみがあると思うのですが、このアシュランからは、自前のターンテーブルに乗せて回転する全身像を、劇中での臨場感そのもののベストアングルとして捉えていく楽しみ方も加わりそうです。 

 また、アシュランと言えば “レッドキングと鳴き声が同じ” という印象があろうかと思います。

 これは正確には、どくろ怪獣レッドキング (『ウルトラマン』第8話「怪獣無法地帯」にて初登場) の性格や劇中の傍若無人さを受けて制作された咆哮音がライブラリー化され、後に登場してきたアシュランについて、レッドキングと共通するキャラクター性が見出だされたことから、繊細なピッチ調整を経て転用が行われたものでした。

 先のターンテーブルでのディスプレイの際には、ぜひこの咆哮音も独自に加えていただければ (あるいは咆哮音を脳内再生していただければ) 、アシュランの創作背景やウルトラ怪獣の歴史の一端を感じ取れて、より複合的に楽しむことが出来ると思うのです。

 なお、こうした両面的な特徴は後に、同じく赤系・青系の両面体躯を持った円盤生物ブリザードが現れましたが (第45話「恐怖の円盤生物シリーズ! まぼろしの少女」)、それまではアシュランが唯一のものでした。

 そして、アシュランの性格は別名の中に記されている通りの凶悪さで、顔面は双方ともに、悪辣さをみなぎらせた怒れる形相です。

 狙う相手が帰ってきたウルトラマン=ウルトラマンジャックひとりであれば容赦なく奇襲を仕掛けてきましたが、眼下の郷秀樹、モロボシ・ダン、おおとりゲンにウルトラマンジャック、ウルトラセブン、ウルトラマンレオの姿を見てとると、瞬時に戦力差を見極めて一目散に撤退します。

 ですが、そんな一方で3体のウルトラマンが現れないとみるや、瑳川哲朗さんによる劇中ナレーションにある図々しさを発揮して傍若無人に猛威を振るい、防衛線をものともせずにMACの東京支部に迫るという、非常に厄介な戦略家でもあります。

 アシュランの形相ならびにヒューマノイドタイプならではの顔の造作についての個人的な思いとして、怒りを表現した能面の固定された表情が想起されてきて、自身の状況が優勢・劣勢と変化しても表情は変化しない点で、アシュランの心の奥底が常に怒りの沸点にあって、最上級の排他的意識の発露にあると感じられてきてなりません。

 つまりはそこに、アシュランと呼ばれる怪獣を凶悪で、戦闘的で破壊的な存在の象徴として創造するために投入された、特撮スタッフの意匠が込められているのではないか…と!

 続いてアシュランの全身像を見ていくと、頭部に両面の境目の様に並んだ鋭い突起群は、アシュランが非常に危険な存在であることの象徴と言えます。

 加えて、逆立つ頭髪に見立てれば怒髪天の如くの激しい感情が伝わってくる様です。

 また、両面に相似して体表のあちこちに配置された、丸みを帯び、先端が軽く上方を向く大小の突起群は、内面から噴き出す破壊衝動の炎か、はたまた激しい邪気のオーラかという…平和的な感情とは相容れない何かの力の抽象化を感じずにはいられません。

 しかも、脇腹にあたる左右の側面を含む体表からのこれら突起群は、それぞれの前方ではなく、全て横方向に伸びているのは、ウルトラ怪獣の特殊美術として、見逃せないポイントです。

 ひときわ強敵のウルトラ怪獣を造形する際の考え方のひとつに、“ウルトラマンより大きくする” という視点があります。

 それは身長のことであったり全身の量感のことであったりして、逆の見方をすれば、“ウルトラマンより小さく見える怪獣は強さを感じさせにくい” と言えます。

 こうした強敵創造術の最も分かりやすい例で言えば『ウルトラマンA』第3話「燃えろ!超獣地獄」に登場し、ウルトラマンAを上回る身長・量感を共に備えた一角超獣バキシムが挙げられるでしょう。

 アシュランの場合は、ヒューマノイドタイプの怪獣ということもあり、全身がレオやジャックよりも隆々としていますが、身長については、ほぼ同等です。

 その条件で “ウルトラマンをも脅かす強さの持ち主“ であることを印象付ける表現として、頭部と体表の突起群は実に有効です。

 体表の突起群は横幅の強調に繋がり、言わば、立ちはだかる壁を想起させてきます。この点は、劇中で進撃するアシュランが両腕を大の字を思わせるかの様に横に伸ばしていることで、障壁感がより強調されています。

 しかもこの様相は、MACの隊員たちが迎撃の際、この横幅が人間である隊員たちの視野を圧倒的に埋め、見上げた状態で脅威の感情に訴える演出プランとしても有効です。

 かくして、面相・容姿・演技、更には咆哮音が同期する形で演出されていった強敵ウルトラ怪獣を〈大怪獣シリーズ〉のフォーマットで再構築したアシュランを手に取ることで、物語の企画や脚本が求めるドラマにしたがって最適解のウルトラ怪獣を創造していくスタッフの探究心、そして表現力を追体験出来ると、筆者は感じずにはいられません!

 そして!〈大怪獣シリーズ〉アシュランには、スペシャルな特典が同梱されます。

 ウルトラマンジャックが、ウルトラセブンへの変身能力を失ってしまったモロボシ・ダンのもとへ届けた「怪獣ボール」です!

 「怪獣ボール」からは、ウルトラ警備隊員時代のモロボシ・ダンが、何かの事情でウルトラセブンに変身出来ない時、自分に代わって活躍させる「カプセル怪獣」のウインダム、ミクラス、アギラ同様に、セブンガーが出現!

 活動時間が1分間と限られつつも、アシュランに対して目覚ましい善戦を繰り広げたのでした。

 新アイテム「怪獣ボール」の登場には、『ウルトラマンレオ』の視聴者からの声も役立てられていたといいます。これはまさに “ダンが変身出来ない時のカプセル怪獣” という図式を発展させた形です。

 そんなプロセスを経て生み出された「怪獣ボール」を、劇中で郷やダンが手にしていたリアルスケールでの立体化です!

 もしかしたら同梱されてしまったアシュラン当人は、眼と鼻の先にパッケージングされた「怪獣ボール」に、気が気ではないかも?しれませんが、気が気でないのは、きっと皆さん方も同じでしょう。

 このサイズと質感での「怪獣ボール」の立体化・商品化は、ガレージキットなどを除けば初と言っていい快挙なのですから、当然『ウルトラマンレオ』リアルタイム世代の筆者も気が気でありません!

 以前に筆者は〈大怪獣シリーズ〉のブラックドームとのお出かけ撮影を提案させていただきましたが、その第2弾として!ぜひとも「怪獣ボール」を手に屋外でダンになりきり、郷になりきる〈大怪獣シリーズ〉のアウトドアライフをアシュランと共に、存分に楽しんでいただけたらと、願わずにはいられません。

(なお、その際には劇中のアシュランにも、巨大感を表現するため、屋外で撮影されたカットが存在していることもお忘れなく!)

 アシュランと「怪獣ボール」をセットにした夢の様な宝箱でお届けする〈大怪獣シリーズ〉最新作に、どうぞご期待ください!

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豊富な付属品で生まれ変わった!ドラコVer.2出現! /200438r/ Mon, 27 Oct 2025 07:55:06 +0000 /?p=323 筆者:秋廣泰生
ライター/映像演出家。元・円谷プロ製作部所属。1980年代後半より、ウルトラマンシリーズをはじめ、円谷プロ作品の映像商品の制作や、出版物、CDの構成執筆を手掛ける。VHS時代の再編集ビデオの殆どで編集・演出を担当。テレビ番組演出は『ウルトラマンボーイのウルころ』『ウルトラマン列伝』など。

完全新規造形で生まれ変わったドラコが登場!

 今回紹介するのは〈彗星怪獣ドラコ〉そのVer.2です!

 〈大怪獣シリーズ〉の一環として、ドラコは2006年4月に腕・足・尾・折り畳み式の羽根など、各部が可動するアクション仕様でラインナップされていましたが、今回は現在の基本フォーマットであるディスプレイ仕様。しかも、一部パーツの差し替え式という、既に発表されているキャッチコピーを引用すると「新規造形と豊富な付属品でやってきた!」と謳う、堂々の最新仕様なのです。

 まずは、ドラコが初登場した作品のエピソードから進めていきたいと思います。

 初回放送はなんと!1967年 (昭和42年) 1月1日、元日にして日曜日の夜7時からだったという『ウルトラマン』第25話「怪彗星ツイフオン」にドラコは初登場。日本アルプスを舞台に冷凍怪獣ギガス、そしてどくろ怪獣レッドキング (二代目) と、三つ巴の大激戦を繰り広げます!

 現在でこそ、正月三が日でもコンビニはもとより、初売り・初商いの様々な店が開いていますが、昭和の時代は一斉に正月休みが当たり前。家族や親戚が集まった新年会や、みな連れ立っての初詣に新年旅行等々、誰もが 、のんびりゆったりと正月休みを満喫しているものでした。

 そんな三が日のトップバッターである元日、その夜7時となれば、宴もたけなわであったり揃ってお出かけだったりと、果たしてテレビのチャンネルを『ウルトラマン』に合わせてくれるのか…と、思ってしまいますが、前年7月より『ウルトラQ』から直結して放送を開始した『ウルトラマン』の視聴率は絶好調で、元日だからといって休止する理由は無かったようです。

 そもそも『ウルトラQ』の第1話「ゴメスを倒せ!」は1月2日の放送開始でした。

 当初は正月2日では (前述のような背景から) 視聴率が取れないと考えられ、放送日をずらすべきだという声もあったそうですが、いざ蓋をあけると視聴率は30%超え!この実績が元日放送を後押ししたのは間違いありません。

 しかも「怪彗星ツイフオン」は三大怪獣の登場です。

 「ゴメスを倒せ!」が古代怪獣ゴメスと原始怪鳥リトラの二大怪獣登場でしたから、まさしく大盤振る舞いです。

 もちろんジェットビートルの見せ場も多く、クライマックスはレッドキング (二代目) に新技を繰り出すウルトラマンとの一騎討ちですから、子どもたちにとっては、まさに破格のお年玉か、はたまた初夢怪獣巨編です!

 令和の世の昼下がりにサブスクで観ても盛り上がる「怪彗星ツイフオン」の完成度・充実感ですから、当時リアルタイムで体験した子どもたちの前のめり度は、果たしてどれほどだったのだろうと羨ましく思ってしまいます。

 そんな一方で、『ウルトラマン』のリアルタイム視聴には間に合わなかった筆者も、後追いながらの前のめり度を、ビックリ箱のように追体験出来たのが『ウルトラファイト』でした。

 さぁ、今日はどんな怪獣が出てくるんだろう?と幼少の頃、毎日が楽しみで仕方なかった帯番組の『ウルトラファイト』。そんなある日の放送でメインタイトルから制作クレジットに続いてバーン!と出るサブタイトルは「怪獣三悪決着大会」。そして始まる「怪彗星ツイフオン」から再編集された三大怪獣大激戦!いきなり当たりくじを引き当てたような驚きと興奮は、現在に至るまでも鮮明です!

 ちなみに、三大怪獣にウルトラマンも加わった決着編は「レッドキング零下10度」になります。

(余談ながら筆者が中学生の頃の同級生に、競泳の試合で全国を飛び回り、授業を休むことも少なくないウルトラマン好きがいて、競技の結果よりも遠征先で「怪彗星ツイフオン」の再放送を観た!とか報告されると、天下御免で学校を休んだうえにツイフォンかい!と、羨ましいを超えて妬ましく思ったのは懐かしい思い出です)

 さて、冷静に考えると一度に3体もの怪獣が登場するとなると、物語は、まずツイフォンをめぐる科学特捜隊ならびに動揺する人々の人間ドラマが大前提で、怪獣1体あたりの見せ場の分数はグッと短くなるはずなのに、科特隊の緊張感に満ちた台詞による事実上の前哨や紹介解説が会話の中にシンプルに組み込まれていて期待が高まり、結果、出番が短い印象は全くありません。

 これは脚本や演出の上手さという観点からも、なかなかに舌を巻きます。

 「怪彗星ツイフオン」の脚本を担当した若槻文三さんは、数々のテレビドラマを手掛けてきたベテランです。この頃で既にベテランということは、その数年前から始まった民放テレビ局の黎明期を開拓し、支えてきた脚本家ということでもあります。

 実は若槻さんは『ウルトラQ』の頃から登板の話もあったのですが、この時はかなわず、『ウルトラマン』の元日放送話で初登板とは、若槻さんに敬意を表した、なんとも粋な計らいです。

 若槻さんはこの後『ウルトラセブン』第26話「超兵器R1号」も執筆。宇宙から地球に飛来した羽根を持つ怪獣が大きなポイントとなる点で、登場する再生怪獣ギエロン星獣は、ドラコの発想が飛躍的に発展した系譜とも捉えられるのではないでしょうか?

 今回、ドラコの原型を担当したのは、造型師の酒谷明伸さんです。酒谷さんはエクスプラスのYouTubeチャンネル「帰ってきた大怪獣ラジオ」 に《酒谷さん》として登場していて、これを観ると、酒谷さんの気さくな人柄や造型へ取り組む姿勢、そしてなによりあたたかな “怪獣愛” が伝わってきます。

 そこで改めて〈ドラコVer.2〉についての紹介です。

 実は『ウルトラマン』に登場するドラコは、右手の先に渦巻きのように備えた長い鞭、左手の先に鋭い鎌を持つ怪獣としてデザイン・造形が行われていました。

 この時の姿は映像中には登場せず、商品化用の資料として撮影された前・横・後ろの三面写真、または当時、独占掲載権を取得していた講談社さんが、特撮ステージが設けられていた撮影所〈東京美術センター〉(*後に〈東宝ビルト〉と改称) の屋外で、少年誌・児童誌の掲載用に怪獣らしくポーズをつけて撮影したもののみに残されています。

 いずれの写真も放送終了後に、児童向けミニカードのメーカーへ供給されており、ミニカードの絵柄として、これらを記憶されている方々も多いのではないでしょうか。

 特撮ステージでのドラコは、実際に鞭を巻き取れるギミックがあったという渦巻き状部分が外され、一見すると両手の先が鎌状になっているように見受けられる姿となっています。

 こうした劇中での姿と、写真のみに残る姿とを〈大怪獣シリーズ〉は再現するべく、なんと右腕は選択式!どちらの姿のドラコも再現出来る工夫が凝らされています。

 そして、パッと開いて空中に舞い上がり敵を翻弄する、ドラコの俊敏さの象徴でもある透明な羽根は、開いた状態と閉じた状態が選択式!

 ディスプレイモデルとして受け止めるならば、まさに大きく羽根を開いて敵を威嚇する臨戦体勢の再現であり、閉じた羽根なら、まさに格闘中の激戦体勢の再現と、イマジネーション豊かにドラコを感じることが出来ます。

 そして、酒谷さん造形の特徴のひとつと言っていいでしょう、前方に踏み出した左足と、今にも横から繰り出そうと構えた右腕からくる、内部骨格の一瞬の動きを捉えたポージング!

 これらは好戦的なドラコの性格を見事に表しつつ、講談社さんの写真の1枚をそのまま抜き出させたように再現している?と思わせて痛快です。まさに落語家・柳家喬太郎師匠のウルトラマン落語「抜けガヴァドン」ならぬ「抜けドラコ」と言うべき臨場感を湛えています!

 そして、全身を包む表皮パターンは更なる研究と考証が重ねられた質感が再現されており、この点は、ぜひとも実物を手に取って実感してもらいたい重要なポイントになっています。

 かくも多様な魅力が一身に凝縮された〈ドラコ Ver.2〉の到来は間近です!どうぞご期待ください!

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騒音を吸収する超獣 サウンドギラー 出現!! /200433r/ Tue, 13 May 2025 06:24:37 +0000 /?p=306 筆者:秋廣泰生
ライター/映像演出家。元・円谷プロ製作部所属。1980年代後半より、ウルトラマンシリーズをはじめ、円谷プロ作品の映像商品の制作や、出版物、CDの構成執筆を手掛ける。VHS時代の再編集ビデオの殆どで編集・演出を担当。テレビ番組演出は『ウルトラマンボーイのウルころ』『ウルトラマン列伝』など。

神出鬼没で得体のしれない雰囲気を放つデザインの超獣が仲間入り!

 〈大怪獣シリーズ〉のラインナップに新たに加わるのは『ウルトラマンA』第36話「この超獣10,000ホーン?」に登場する…もとい、 “出現” する、騒音超獣サウンドギラーです!

 物語は、マフラーの改造などを施して、凄まじい爆音を轟かせるオートバイで我が物顔に市中を暴走する、その名の通りの暴走族グループの若者たちが主軸となって展開していきます。

 暴走族の乗るオートバイは、雷鳴の様な耳をつんざく爆音を発することから、かつては「カミナリ族」という呼ばれ方をしていた時期もあり、劇中や予告編では双方の名で呼ばれています。

 脚本は『帰ってきたウルトラマン』第41話「バルタン星人Jr.の復讐」を手掛けた長坂秀佳さん。同時期には東映のテレビドラマ『刑事くん』や『人造人間キカイダー』、東映動画 (当時) の『魔法使いチャッピー』などで腕を振るっていました。

 本作の着想は、まさに暴走族の騒音に憤りを感じていたからとうかがったことがあるのですが、そうした心情は物語の序盤で、夜間警戒中だったタックパンサーの北斗・美川両隊員と住民とのやり取りにあらわれているのが感じられます。

 そんな一方で、暴走する彼らなりにも事情があり、それを察して彼らを見捨てない北斗星司がいて、あるいは改心して爆音をやめる筈が、爆音改造を施したばかりのオートバイ屋の店主には呆れられるなど、人間模様を様々な角度から捉えた脚本は、第2期ウルトラマンシリーズのドラマを支え続けていった筧正典監督によって、北斗星司の人物像を描いた物語としてもバランスよく成立しており、まさに職人芸をみる思いです。

 そして、事件の発端となる超獣サウンドギラーについてです。
 特殊技術を務めたのは、もはや説明不要の川北絋一特技監督。川北監督は本編演出の筧正典監督と共に、同時制作の第37話「友情の星よ永遠に」も手掛けており、人間にとって利便さや魅力が上昇していた頃の乗り物が引き起こす “騒音” が超獣出現の発端となる物語が第36話・第37話と、連続して物語の題材となっていました。

 これは、当時の騒音公害に関する情勢や社会世論などを、子どもながらに知っている身として、非常に興味深い出来事に感じられるのですが、逆に言えば、近似した題材を、どの様に個々のドラマであり特撮として成立させていくかの工夫が随所に感じられて、これもまた興味深いポイントです。

 サウンドギラーの場合、騒音のある所に瞬間的に現れては消えてしまう神出鬼没の設定から、実景との合成カットが最初の見せ場になりました。

 騒音のある所とは、社会の授業で習った〔第2次産業〕が盛んな場所であって、起伏の無い平坦な地である筈がありません。大都会や工場地帯、建築現場など、種々の人工建造物が複雑に入り組んでいる場所ですから、そこに現れたサウンドギラーを表現するとなると、合成スタッフ陣による実景と特撮との境目のマスキング処理作業も単純な切り合わせでは済まない、かなりの丁寧さが求められます。その精緻さは現在の高画質化した大型モニターでの鑑賞に相応しく、デジタルリマスター化された映像によって、数十年を経て更なる真価を発揮するかの様です。

 そして特撮セットに於いても、サウンドギラーは騒音の発生源である特定の場所に出現する設定ですから、建造物のミニチュアセットも一点豪華主義的に作り込まれていて、ここも特撮的に見逃せないポイントです。
 Aパート終了間際、サウンドギラーが工場の建物を突き破って姿を現しますが、特撮セットでは中心的な建物だけでなく、すぐそばを流れる川までもミニチュアワークで構築されている点は注目です。

 川までフレーム内に収める引きの画作りは、脚本に描かれた危機の本質が超獣の出現や工場の破壊のみならず、我々の生活圏と隣り合わせに存在する工業一帯の危機であることを的確に捉えた、脚本を深く読み込んだ美術設計で、Bパートへの興味関心を高める上でも見事な感性の発露だったと言えるでしょう。

 また、サウンドギラーの演出という点では、効果音も聞き逃せません。
サウンドギラーが騒音に反応することを明確化するため、本作では劇伴音楽の使用頻度を減らし、随所で環境音を主軸にした音響設計が行われていきます。東宝効果集団による実感度の高い市中の環境音ライブラリーが、人間が生存している場の雰囲気を音で再構築しており、それによって本作のドラマは、現実感が高められていきます。

 工場の操業音が前面に出された中でTAC機の攻撃が行われるシーンは、まさに本作ならではの演出です。
 それは劇伴音楽のバックアップが無くともドラマチックな特撮シーンが描けるという、特撮スタッフの熟練の技が披露されていった数分間にほかなりません。

 もっとも、その反動でサウンドギラーは、これまでの超獣に比べて脅威を表現するための劇伴音楽の使用が減ってしまったという見方もあるのですが、そこを一気に払拭する様にエースとサウンドギラーの激闘を彩ったのが、主題歌「ウルトラマンエース」のカヴァー・ヴァージョンでした。

 このヴァージョンはオリジナル主題歌よりも軽快なアップテンポでアレンジされているのが特徴で、リアリティを優先してきた音響設計にひと区切りを付け、歌曲で快調な抑揚を持たせていく切り換えのパワーを秘めていたのは確かでしょう。 

 結果としてこの主題歌は、サウンドギラーを象徴する音楽として多くの方々の記憶に残っているという事実もまた、音響設計のトータルバランスの賜物だと、筆者は強く感じています。

 そんな独特の演出の数々に支えられたサウンドギラーは、果たしてどの様に生み出されてきたのか──ここからは筆者の考察を展開していきたいと思います。

 まず、“音の超獣化” というテーマで考えだされたであろうサウンドギラーの姿は、昭和47年当時で5才の筆者の目にも不思議なものに映りましたが、何よりあの頃、テレビに児童誌に所狭しとひしめいていた新怪獣・新怪人の何れにも似ていない独自の存在感を放っていると感じたのも確かでした。

 そして後年、円谷プロの編集室で実際にウルトラマンシリーズをはじめとする16ミリフィルムの放送用原盤に触れてみた時に「サウンドギラーの両足や腹部に縦に走る黒いギザギザは、フィルムのサウンドトラックではないのか?」という発見をするに至ります。

 映像のデジタル化が進んだ現在、フィルムに触れる機会は殆んど無いとは思うのですが…現在ならば、音楽編集や作曲を行うPCのモニター上に、横方向に進む音の波形を見ることが出来ると思います。つまり、その波形を縦にしたのがフィルムのサウンドトラックにあたるもので、ひとコマずつ連続していくフィルムの横に、波形がずーっと付随して続いていると想像していただければと思います。

 もっとも、正確には放送用フィルムのサウンドトラックはサウンドギラーの様な黒のギザギザではなく白いギザギザで、ここに光が透過することで記録音声が再生される仕組みになっています。

 この様な仕様でフィルムに音声が記録されたものを〈光学式サウンドトラック〉と呼び、件のギザギザは〈モジュレーション〉と呼ばれます。サウンドギラーの黒いギザギザは、言わば視覚化した音を身にまとった状態なのではないかと、筆者は捉えています。
 音をモチーフにした超獣デザインは無理難題の様でいて、実は映画の世界では、ごく身近なところに音を目に見える状態にしたものが溢れていた…と、考えられそうです。

 とは言え、それ以外の部位となると、音に関係する何かが連想されるのは頭頂部のバラボラアンテナ風の部位くらいなのですが、むしろ胸部から頭部にかけての意匠は、胸筋や顔面を抽象化して、誰もが顔であろうと思える部位を構築したものではないかと感じられてきます。

 “音の超獣化” とは、この場合、音の擬人化という意味あいもあり、その結果としてサウンドギラーは格闘戦に必要不可欠なだけでなく、表情の無い中で喜怒哀楽を表現していく一助を担う四肢を備えている訳ですから、やはり頭部に思えてくる部位の存在もまた、サウンドギラーをなにがしかの意思を持った存在として描いていく上で重要だと言えるでしょう。

 ところでサウンドギラーと言えば、不可思議な上にも不可思議な形の尻尾があることでも知られています。ウルトラ怪獣や円谷怪獣はもとより、ありとあらゆる怪獣たちの中にあっても類例が見当たらない…そんな奇妙な尻尾です。

 筆者はこれまで尻尾のデザインについて、音波などをモニター上に波形化するオシロスコープに見られるグチャグチャッとしたダマの様な波形の抽象化?と勝手に想像していたのですが、改めて尻尾を振り返ってみると、現在では録音スタジオの入り口に必ず設置されている防音扉のハンドルや、その内部構造の様にも見えてきています。だとすれば、あの尻尾はサウンドギラーの音の “栓” か何かなのでしょうか?

 もちろん尻尾の正体が何であれ、サウンドギラー自体が非凡なのですから、やはり尻尾も非凡であるべきでしょう。また、尻尾があることでエースとの大格闘時に揺れたり弾んだりして、それだけで意思のあるサウンドギラー本体とは別の動きを見せる映像になり得るという、言ってみればアイドルのステージ衣装のフリルやリボンなどと同様の効果を生じさせるはたらきが期待された部位とも捉えられるのではないでしょうか。

 さて、前述の “栓” という考え方ですが、これについては左右につり上がったサングラスの様な頭部の角状もまた、ある種の “栓” ではないかと思うことがあります。
 脚部から腹部にかけてのギザギザがモジュレーションだとしたら、上に延びるどこかに区切りを設けなくては、音は果てしなく上方へ延び、デザイン上でもとりとめがなくなってしまいかねません。

 これは、頭部あるいは視覚部とおぼしき部位に無数に点在する色とりどりの光点を表現する電飾を仕込むため、FRP (強化プラスチック) で成形されたであろう “頭部” の硬質感と、ボディを形成する軟質感との違いから、より “栓” の様に思えてくるのかもしれませんが──そこで、こんな視点で考えてみるのはどうでしょう?

 実はサウンドギラーのデザインを担当した髙橋 (井口) 昭彦さんは『帰ってきたウルトラマン』第35話「残酷!光怪獣プリズ魔」に登場する、光怪獣プリズ魔をデザインされていて、奇しくも光をプリズ魔という姿形に、音をサウンドギラーという姿形に具体化してみせたという、ウルトラ怪獣デザイン史にあって唯一無二の体験を経ている美術デザイナーなのです。

 そうした視点から両者を見比べると、頭部とおぼしき部位が、あたかもハンドル付きの硬質な栓の様にまとめられていることに気が付きます。光も音も無限の極みで、おいそれと人間が扱えるものではないからこそ “怪獣” として、ひとつの形に着地させる何らかの手立てが必要となった──と言うよりは、奇妙な形の中にも、人間がどこか不安を取り去って落ち着ける何かが形に求められた、その結果なのではないでしょうか。

 ここに筆者は『帰ってきたウルトラマン』や『ウルトラマンA』だからこそ、挑み、実現することが可能になった抽象領域の具現化と、それを “怪獣” として魅力的に表現していく特撮美術の発想の自由さを感じずにいられません。

 また、プリズ魔は一種の静物と化すことで個性の創出に成功している一方で、サウンドギラーには作劇上、静物化は求められていませんから、プリズ魔とは決定的に異なる四肢という要素が備わっているわけですが、逆の見方をすれば、サウンドギラーも、実は静物要素を多分に含んでいるという捉え方も可能でしょう。つまり、静物要素を取り払うためにある四肢という考え方です。

 その指にあたる部位は足も手も外側へ広がり、モジュレーションの上方へ延びていくベクトルとは違う、別の動線を作り出しています。
 開いた両腕は仁王立ちや威嚇の様相であり、なんとも柔らかな立体曲線を描いている両足の接地面も、その大きさ故に直立するには両足をハの字に開く必要があるなど、総じてサウンドギラーの静物化を積極的に否定してきているかの様です。

 今回発表された〈大怪獣シリーズ〉のサウンドギラーは、そうした基本がしっかり押さえられていて、筆者は非常に好感を抱いています。

 サウンドギラーは脅威をバックアップする劇伴音楽が多用されなかったことや、爪も牙も鋭い眼光も無く、超獣にしては悪意や憎らしさを感じない側面があるのも確かで、そんなところから現在は、ゆるキャラ的なニュアンスでも愛され、その気持ちが結実したガレージキットなどを見掛けることも多々あったのですが…〈大怪獣シリーズ〉のサウンドギラーは、なにより写実性を重視し、サウンドギラーの実体や実像に忠実に迫る造形となっています。

 原型を担当されたのは、円盤生物ブラックドームも担当の増川信二さんで、ことサウンドギラーの様なエポックメイキング度数の高いウルトラ怪獣には、造形に脚色の視点や解釈を挟まない、増川さんならではのリアリティ表現こそが重要であり、まず『ウルトラマンA』のスタッフが創り出したありのままを写し取る様に形にする、そのための人選もまた実に見事だと感じているところです。

 超獣を語り、その全体像を捉える上で重要な立ち位置にいるサウンドギラーの〈大怪獣シリーズ〉ならではの確かなアプローチは、実際に手に取ってみて様々な角度から観察したり、手もとに携えながら映像を鑑賞することで、抽象美術としての回答を様々に読み取っていく楽しみを味わえるのではないかと思っています。

 来るべき〈大怪獣シリーズ〉騒音超獣サウンドギラーの “出現” に、どうぞご期待ください!

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