ウルトラマンレオ | 路地裏の散歩者 少年リック公式ブログ Tue, 28 Oct 2025 07:14:19 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.8.3 /wp-content/uploads/2024/05/cropped-faviconV2-32x32.png ウルトラマンレオ | 路地裏の散歩者 32 32 ジャックとレオと対峙した”二面怪獣”アシュラン登場! /200492r/ Tue, 28 Oct 2025 07:14:19 +0000 /?p=341 今回紹介する最新作〈大怪獣シリーズ〉は、『ウルトラマンレオ』第34話「ウルトラ兄弟 永遠の誓い」に登場した二面凶悪怪獣アシュランです。

 アシュランが初登場した昭和49年 (1974年) 当時、小学一年生だった筆者には、この強敵怪獣の出現は大きなトピックスでした!

 前週に放送された予告編映像から、新怪獣とウルトラ兄弟が対峙するであろう展開に期待せずにはいられません。そこには帰ってきたウルトラマン=ウルトラマンジャックもいて、しかも郷秀樹も登場する!

 果たして翌週のオンエアでは、サブタイトルの字面や語感にもグッと心を掴まれ、緊迫感に満ちたドラマの充足感についてもまた、言うまでもありません。

 アシュランは、ヒューマノイドタイプと言うべき、人間同様の四肢や頭部の外形を持った怪獣の一種で、最大の特徴は、一見、赤い体色の全身像が前面のように見えて、実は青い体色で同じ顔と姿形を持った後面もまた、前面であるという、まさしく “二面怪獣” です。

 赤面・青面とも強力な打撃力や格闘能力を発揮するのはもちろん、双方の口から同時に高熱火炎を噴射して破壊や攻撃を行うなど、事実上、常に360度に近い視界の戦闘範囲を確保していると考えられます。

(全方位をフォロー出来るという観点からは、隙を持たない、ある種の神秘性を湛えた怪獣との受けとめも可能でしょうか)

 こうした独自の両面性の特徴からクライマックスでは、それぞれの面にレオとジャックが相対していく戦いが繰り広げられ、最後は郷の発案による月蝕を利用した挟撃の名勝負へと展開していきます。

 仮に逆算してみるならば…アシュラン対レオ&ジャックの殺陣を、効果的かつ独自の面白さで見せるために導き出された二面怪獣という設定…とも言えそうですが、更にここには、もうひとつのアシュラン創作の条件があったようにも思います。

 実は前回の第33話は「レオ兄弟対宇宙悪霊星人」でした。つまり、企画の段階では登場するアクマニヤ星人とレオ・アストラの兄弟が挟撃する可能性が有り得たとも、考えられる訳ですが、そうであるならば、やはり挟撃が有り得るアシュランは、アクマニヤ星人と差別化した特性を持たせた演出プランを考えておく必要があるのではないか──という想像がはたらいてきます。

 こうした制作上の流れからアシュランの独自性が導き出されてきたのかもしれないと想像してみると、ドラマが求めてくる怪獣の創造過程として、実に興味深いものがあります。

 こうしたアシュランの特異性を手に取って実感出来るのが、まさに〈大怪獣シリーズ〉の持ち味です。和風テイストの朱を感じる面を進撃方向に想定したポージングの中に、左右の五指は両面性を持たせて造形されており、このため青面からは、自らの威容を見せつけるかの様に胸を反らす、ふてぶてしさが感じられてくる様です。

 〈大怪獣シリーズ〉を愛する方々の中でもパッケージからの開封派は、自分の手に取ってあらゆる方向から眺め、お気に入りのアングルを見つけ出していく楽しみがあると思うのですが、このアシュランからは、自前のターンテーブルに乗せて回転する全身像を、劇中での臨場感そのもののベストアングルとして捉えていく楽しみ方も加わりそうです。 

 また、アシュランと言えば “レッドキングと鳴き声が同じ” という印象があろうかと思います。

 これは正確には、どくろ怪獣レッドキング (『ウルトラマン』第8話「怪獣無法地帯」にて初登場) の性格や劇中の傍若無人さを受けて制作された咆哮音がライブラリー化され、後に登場してきたアシュランについて、レッドキングと共通するキャラクター性が見出だされたことから、繊細なピッチ調整を経て転用が行われたものでした。

 先のターンテーブルでのディスプレイの際には、ぜひこの咆哮音も独自に加えていただければ (あるいは咆哮音を脳内再生していただければ) 、アシュランの創作背景やウルトラ怪獣の歴史の一端を感じ取れて、より複合的に楽しむことが出来ると思うのです。

 なお、こうした両面的な特徴は後に、同じく赤系・青系の両面体躯を持った円盤生物ブリザードが現れましたが (第45話「恐怖の円盤生物シリーズ! まぼろしの少女」)、それまではアシュランが唯一のものでした。

 そして、アシュランの性格は別名の中に記されている通りの凶悪さで、顔面は双方ともに、悪辣さをみなぎらせた怒れる形相です。

 狙う相手が帰ってきたウルトラマン=ウルトラマンジャックひとりであれば容赦なく奇襲を仕掛けてきましたが、眼下の郷秀樹、モロボシ・ダン、おおとりゲンにウルトラマンジャック、ウルトラセブン、ウルトラマンレオの姿を見てとると、瞬時に戦力差を見極めて一目散に撤退します。

 ですが、そんな一方で3体のウルトラマンが現れないとみるや、瑳川哲朗さんによる劇中ナレーションにある図々しさを発揮して傍若無人に猛威を振るい、防衛線をものともせずにMACの東京支部に迫るという、非常に厄介な戦略家でもあります。

 アシュランの形相ならびにヒューマノイドタイプならではの顔の造作についての個人的な思いとして、怒りを表現した能面の固定された表情が想起されてきて、自身の状況が優勢・劣勢と変化しても表情は変化しない点で、アシュランの心の奥底が常に怒りの沸点にあって、最上級の排他的意識の発露にあると感じられてきてなりません。

 つまりはそこに、アシュランと呼ばれる怪獣を凶悪で、戦闘的で破壊的な存在の象徴として創造するために投入された、特撮スタッフの意匠が込められているのではないか…と!

 続いてアシュランの全身像を見ていくと、頭部に両面の境目の様に並んだ鋭い突起群は、アシュランが非常に危険な存在であることの象徴と言えます。

 加えて、逆立つ頭髪に見立てれば怒髪天の如くの激しい感情が伝わってくる様です。

 また、両面に相似して体表のあちこちに配置された、丸みを帯び、先端が軽く上方を向く大小の突起群は、内面から噴き出す破壊衝動の炎か、はたまた激しい邪気のオーラかという…平和的な感情とは相容れない何かの力の抽象化を感じずにはいられません。

 しかも、脇腹にあたる左右の側面を含む体表からのこれら突起群は、それぞれの前方ではなく、全て横方向に伸びているのは、ウルトラ怪獣の特殊美術として、見逃せないポイントです。

 ひときわ強敵のウルトラ怪獣を造形する際の考え方のひとつに、“ウルトラマンより大きくする” という視点があります。

 それは身長のことであったり全身の量感のことであったりして、逆の見方をすれば、“ウルトラマンより小さく見える怪獣は強さを感じさせにくい” と言えます。

 こうした強敵創造術の最も分かりやすい例で言えば『ウルトラマンA』第3話「燃えろ!超獣地獄」に登場し、ウルトラマンAを上回る身長・量感を共に備えた一角超獣バキシムが挙げられるでしょう。

 アシュランの場合は、ヒューマノイドタイプの怪獣ということもあり、全身がレオやジャックよりも隆々としていますが、身長については、ほぼ同等です。

 その条件で “ウルトラマンをも脅かす強さの持ち主“ であることを印象付ける表現として、頭部と体表の突起群は実に有効です。

 体表の突起群は横幅の強調に繋がり、言わば、立ちはだかる壁を想起させてきます。この点は、劇中で進撃するアシュランが両腕を大の字を思わせるかの様に横に伸ばしていることで、障壁感がより強調されています。

 しかもこの様相は、MACの隊員たちが迎撃の際、この横幅が人間である隊員たちの視野を圧倒的に埋め、見上げた状態で脅威の感情に訴える演出プランとしても有効です。

 かくして、面相・容姿・演技、更には咆哮音が同期する形で演出されていった強敵ウルトラ怪獣を〈大怪獣シリーズ〉のフォーマットで再構築したアシュランを手に取ることで、物語の企画や脚本が求めるドラマにしたがって最適解のウルトラ怪獣を創造していくスタッフの探究心、そして表現力を追体験出来ると、筆者は感じずにはいられません!

 そして!〈大怪獣シリーズ〉アシュランには、スペシャルな特典が同梱されます。

 ウルトラマンジャックが、ウルトラセブンへの変身能力を失ってしまったモロボシ・ダンのもとへ届けた「怪獣ボール」です!

 「怪獣ボール」からは、ウルトラ警備隊員時代のモロボシ・ダンが、何かの事情でウルトラセブンに変身出来ない時、自分に代わって活躍させる「カプセル怪獣」のウインダム、ミクラス、アギラ同様に、セブンガーが出現!

 活動時間が1分間と限られつつも、アシュランに対して目覚ましい善戦を繰り広げたのでした。

 新アイテム「怪獣ボール」の登場には、『ウルトラマンレオ』の視聴者からの声も役立てられていたといいます。これはまさに “ダンが変身出来ない時のカプセル怪獣” という図式を発展させた形です。

 そんなプロセスを経て生み出された「怪獣ボール」を、劇中で郷やダンが手にしていたリアルスケールでの立体化です!

 もしかしたら同梱されてしまったアシュラン当人は、眼と鼻の先にパッケージングされた「怪獣ボール」に、気が気ではないかも?しれませんが、気が気でないのは、きっと皆さん方も同じでしょう。

 このサイズと質感での「怪獣ボール」の立体化・商品化は、ガレージキットなどを除けば初と言っていい快挙なのですから、当然『ウルトラマンレオ』リアルタイム世代の筆者も気が気でありません!

 以前に筆者は〈大怪獣シリーズ〉のブラックドームとのお出かけ撮影を提案させていただきましたが、その第2弾として!ぜひとも「怪獣ボール」を手に屋外でダンになりきり、郷になりきる〈大怪獣シリーズ〉のアウトドアライフをアシュランと共に、存分に楽しんでいただけたらと、願わずにはいられません。

(なお、その際には劇中のアシュランにも、巨大感を表現するため、屋外で撮影されたカットが存在していることもお忘れなく!)

 アシュランと「怪獣ボール」をセットにした夢の様な宝箱でお届けする〈大怪獣シリーズ〉最新作に、どうぞご期待ください!

商品ページはこちら‼→https://jp.ric-toy.com/200492r.html

]]>
円盤生物第2号!ブラックドーム登場! /200371r/ Tue, 08 Oct 2024 09:59:09 +0000 /?p=235 筆者:秋廣泰生
ライター/映像演出家。元・円谷プロ製作部所属。1980年代後半より、ウルトラマンシリーズをはじめ、円谷プロ作品の映像商品の制作や、出版物、CDの構成執筆を手掛ける。VHS時代の再編集ビデオの殆どで編集・演出を担当。テレビ番組演出は『ウルトラマンボーイのウルころ』『ウルトラマン列伝』など。

恐怖の円盤生物第2号が大怪獣シリーズに登場!

 着々とラインナップを増やしつつある『ウルトラマンレオ』に登場した怪獣・宇宙人の〈大怪獣シリーズ〉化。ここにまた新たな1体として、恐怖の円盤生物が加わることになりました!

 『レオ』の最終回を盛り立てた強敵であり、2020年5月に〈大怪獣シリーズ〉として発売された円盤生物ブラックエンドに続くのは、ブラックスターの地球侵略円盤生物の第2号、ブラックドームです!

 ブラックドームが猛威を振るうのは第41話「恐怖の円盤生物シリーズ! 悪魔の惑星から円盤生物が来た!」でした。
 このエピソードでは、空飛ぶ円盤大好き少年がゲスト主役として登場します。

 世界の各地で撮影された円盤の写真を集めたファイルが垣間見えたり、天体望遠鏡を空に向けて円盤を探したり、遂には正体がブラックドームとは知らず、眼前に迫ってきた円盤を鏡に反射させた光で呼び寄せようとします。

 こうした描写は『レオ』の放送が開始された昭和49年 (1974年) 当時、児童誌で[空飛ぶ円盤]や[宇宙人]の目撃情報、円盤や宇宙人らしき物体を捉えた写真記事や遭遇体験が特集され、それらの社会情勢がフィードバックされたものと、小学校1年生での『レオ』リアルタイム視聴者の筆者は受けとめています。

 それは恐らく「恐怖の円盤生物シリーズ!」成立の根幹でもあったのでしょうし、筆者の記憶の中にある記事も、当時流の児童向けノンフィクションとして、迫真性に溢れていたと振り返っているところです。

 と同時に『レオ』での星人や宇宙怪獣到来率の高さ、星人出自の天体が様々な事情と共に語られたりするのも、そうした記事がヒントになっているのではと感じるところがあります。

 また『レオ』と同時期に放送されていた円谷プロ作品『SFドラマ 猿の軍団』にも[空飛ぶ円盤]が、地球の情勢に関わる存在として出没していましたから、当時の[空飛ぶ円盤]への関心度の高さがうかがえます。

 続いては〈大怪獣シリーズ〉に到来するブラックドームに注目してみたいと思います。
 今回、大怪獣シリーズ「ブラックドーム」の造形を手掛けたのは原型師 増川信二さんです。

 増川さんは特撮系のキャラクターはもちろん、アニメなどの2次元キャラクターも極めて写実的に造形する、見事な手腕で知られています。

 そうした中で筆者は、増川さんの造形テクニックについて、実に不思議に感じているポイントがあります。
 それは例えば造形対象が架空の存在だったとしても、実在の生物の様な  “潤い” 度数の高さ、あるいは低さを宿らせている様に感じられるところなのです。

 そのテクニックの謎と秘密は何なのか、筆者の付け焼き刃の知識では解明出来ませんが、その表現力はブラックドームにも着実に活きていると感じられてきます。

 ウルトラマンシリーズの特撮ステージは、たくさんの照明機材が発する熱や、種々の特殊効果で発生する大量の埃などで非常に乾燥しがちなのですが、それらが影響しているのかどうか、時折、“乾燥肌” を思わせる怪獣がみられることがあります。
 個人的にブラックドームも、そうした “乾燥肌” の1体と感じていましたから、増川さんという人選は、まさしく適材適所。ブラックドームにうってつけ!と小躍りしてしまいました。

 なお『ウルトラマンT (タロウ) 』に登場した宇宙大怪獣べムスター (改造) にも、個人的に “乾燥肌” 感を抱いているのですが、実は〈大怪獣シリーズ〉のべムスター (改造) も、増川さんの造形であったと知り、その表現力に大納得です。

 もちろん〈大怪獣シリーズ〉は高度な塗装技術が持ち味です。塗装によるウェット感・ドライ感表現がありますが、増川さんの手掛けた怪獣は素地からして、皮膚表現の謎と秘密が隠されている気がするのです。

 そして言うまでも無く、ブラックドームの写実的表現は、映像や写真からそのまま抜け出てきたかの様で、こうして画像で見て感嘆するだけでなく、手に取ってみた時、実物標本の縮小レプリカの如くの感覚を味わえるのではないでしょうか。

 思うに近年、カプセルトイやプラモデルなどで昆虫や甲殻類など節足動物のリアルフィギュア化がひっきりなしですが、ブラックドームも外見的に宇宙的節足動物の一種でしょうから、リアル造形とは本来的に相性がいいのかもしれません。

 さて!ブラックドームの〈大怪獣シリーズ〉ラインナップ化と聞いて、真っ先に思ったのが「これは推し活に使える!」ということでした。

 恐らく〈大怪獣シリーズ〉の楽しみ方としては、お部屋でのディスプレイが主流ではと思うのですが、ここで新たに提案したいのが、ブラックドームを連れてのお出かけです!

 昭和40年代後半から『レオ』放送の頃にかけての特撮テレビ番組を知る方々なら、第41話の劇中で円盤探しをしていた廃墟は、様々な作品でロケ地に重宝されていた、通称[おばけマンション]と呼ばれていた所だと、すぐに気付いたことでしょう。

 撮影から既に50年を経過しようという現在、この廃墟は跡形も無く存在しませんが、劇中から様々に読み取れたり想像される位置関係によって、ブラックドームが飛来してきた方向が推測出来ますから「恐らくこの辺りの空で本性を現した?」と想像力をはたらかせながら、空をバックにブラックドームを撮影してはいかがでしょう?

 〈大怪獣シリーズ〉化されたブラックドームは、間違いなく推し活バッグにフィットしたサイズ感で、一緒のお出かけにも最適です!

 また、より高度な推し活を求める方は…実は特撮パートに登場する城南大学の複数の校舎として、第21話「見よ!ウルトラ怪奇シリーズ 北の果てに女神を見た!」で、札幌の時計台をモデルにした建造物のミニチュアが再び使われていましたから、イマジネーションを更に更に増幅させて、札幌でのブラックドーム撮影に臨んではいかがでしょう?(笑)。

 お手元にブラックドームが届くまでの時間は、撮影プランを練るための時間でもあると考えれば、楽しみも倍増です!
 それでは〈大怪獣シリーズ〉ブラックドームの襲来に、ぜひ手鏡を磨き上げてお待ちください!

予約ページはこちら!→https://jp.ric-toy.com/200371r.html

]]>
宇宙拳法の達人・ウルトラマンレオがギガンティックシリーズに登場! /200327r/ Tue, 13 Aug 2024 06:51:06 +0000 /?p=179 筆者:秋廣泰生
ライター/映像演出家。元・円谷プロ製作部所属。1980年代後半より、ウルトラマンシリーズをはじめ、円谷プロ作品の映像商品の制作や、出版物、CDの構成執筆を手掛ける。VHS時代の再編集ビデオの殆どで編集・演出を担当。テレビ番組演出は『ウルトラマンボーイのウルころ』『ウルトラマン列伝』など。


全高約49cmのビッグサイズでウルトラマンレオが登場!

今回は〈ギガンティックシリーズ〉から最新作、ウルトラマンレオの紹介です。

 ”ギガンティック“ というワードに象徴される様に、このシリーズは〈大怪獣シリーズ〉をググッと超越する迫力の全高が特徴です。

 仮に〈大怪獣シリーズ〉を「エクスプラスの怪獣シリーズ」のスタンダードサイズとするならば〈ギガンティックシリーズ〉は、まさしくジャイアントサイズ。

 我らのウルトラマンたちは、身長40メートル超の巨大ヒーローですから、そんなウルトラマンたちの巨大感に迫れる魅力こそ〈ギガンティックシリーズ〉最大のポイント。その手に取っていただければ、巨大なヒーローと向き合える疑似体験的な存在感と充実度が心に伝わってくるのは間違い無いでしょう。

そして、ここに紹介する全高約49cmの《ウルトラマンレオ》を造形した原型師こそ、昭和特撮作品のヒーロー、怪獣、宇宙人のリアリティ溢れる再限度で大きな注目を集めている、セキケンジさんです。

 セキさんはエクスプラス〈大怪獣シリーズ〉でも数多くの昭和ウルトラマンたちを造形しており、個人的には〈大怪獣シリーズ〉における昭和円谷ヒーローのイメージリーダーではないかと考えています。

 また、セキさんは様々なフィギュアメーカーを舞台に、昭和特撮のフィギュア化で活躍しており、実は原型師がノンクレジットのままで、あなたの机の上にもセキさん入魂造形のフィギュアが並んでいるかも?しれません。

 セキさんは日本のガレージキット黎明期である1980年代前半には『帰ってきたウルトラマン』の主人公ウルトラマンジャックを自作。写実性の高さだけでなく、生命感ある造形力は現在の目で見ても驚くべきものがあります。

 ある意味では幼少期からの特撮愛に始まった、数十年に及ぶ昭和ウルトラマンたちへの観察眼が〈大怪獣シリーズ〉、そして何より〈ギガンティックシリーズ〉に昇華されているのは間違いの無いところです。

 さて!改めて〈ギガンティックシリーズ〉ウルトラマンレオです。

 〈大怪獣シリーズ〉のウルトラマンたちの場合は、映像作品の劇中で見せた、アクティブで特徴ある動きの一瞬や、そうした撮影の合間にシャッターが切られた印象的な場面写真などをイメージソースとして重視し、固定したポーズの中に躍動感あるリアリティを追究した再構築が図られている訳ですが、一方の〈ギガンティックシリーズ〉の基本的なコンセプトは、直立姿勢として統一されています。

 これを言い換えるとするなら、怪獣が猛威を振るう緊急事態に、すぐさま腰を落として相手を見据えたり、両手を構え、両足を前後または左右に踏み出すなどの臨戦態勢を表現したものが〈大怪獣シリーズ〉で、ウルトラマンたち個々のパーソナリティーを、共通した直立姿勢の枠組みの中で描き分けていくのが〈ギガンティックシリーズ〉だと思うのです。

 そこで発揮されるのが、セキさんならではの心身への観察眼と、これを形成する造形術です。

 ウルトラマンたちの姿や立ち振る舞いはもとより、その精神性を探り、手繰り寄せて解釈しフィギュア化するという行為には、古来、私たち人間そのものへ向けられた彫像美への追究が重なります。

 それは写実的なリアリティ表現とは異なるニュアンスを含みますから、造形デッサン以上に、精神性を表現出来る造形を目指した、言わば心のデッサンというべきものに回答を見せるのが、セキさんの造形師としての大きな魅力ではないでしょうか。

 特にウルトラマンレオは、地球で言う空手に相当する宇宙拳法の使い手ですから、直立姿勢の中に鍛え抜かれた全身像が反映されるのは当然のこと、一途に愛する者を守り抜き、平穏に過ごす事を踏みにじられた者に成り代わり、体を張って全力で戦い抜くという、孤高の精神性が反映されなければなりません。

 この辺りは、これまで世に送り出されてきた〈ギガンティックシリーズ〉のウルトラマンたちと並べることで、セキさんのアプローチの違いが明確に感じられてくると思うのです。

 そしてもうひとつ、ウルトラマンレオの造形にとって見逃してはならないのが、頭部ならびに顔の表現です。

 ファンの間で、よく話題になるのが “ウルトラマンレオの顔は、おおとりゲンの顔に似ている” ──すなわち、おおとりゲンを演じた真夏竜さんの顔に似ている、というものです。

 これについて筆者の類推ですが、かつて『ミラーマン』の主人公・鏡京太郎役に石田信之さんが決まった時、ミラーマンのスーツの頭部原型を修整し、“同一人物” である鏡京太郎=石田さんの面相に寄せたとも言われているので、もしかしたらウルトラマンレオの場合にも、同様な場面があったのかもしれません。

 というのも、これもまた筆者の主観ですが、後にNGとなる、全身に光の国のウルトラマンたちの様な銀色のラインが入った、ウルトラマンレオの一番最初のスーツの顔は、真夏さんの顔に似ていない気がするのです──。

 そんな筆者の仮説の真偽はともかくとして「真夏さんの顔とウルトラマンレオの顔は似ている」という声があるのならば、これも純粋な造形上のテーマとして採り入れ、1本のヘラで回答を形成し、完成形の中に更なる深みを持たせていく──ここにも、セキさんの造形が多くの方々を惹き付ける理由があるのではないかと感じています。

 また〈ギガンティックシリーズ〉には、そうした情報を織り込めるサイズ感があるとも言えますから──いえ、セキさんのウルトラマン愛を描けるフィールドが確保されているとも言えますから、そうした意味合いからも〈ギガンティックシリーズ〉としてのウルトラマンレオは、これまでのラインナップから一歩踏み出した熱意と完成度を誇っている──というのが、筆者の脳内を駆け巡った第一印象でした。

 万感の思いが全身に託された〈ギガンティックシリーズ〉最新作・我らのウルトラマンレオ!登場です!

予約ページはこちら!→https://jp.ric-toy.com/200327r.html

]]>